エアコンに使用されているフロンガスについて、従来より法律(フロン回収・破壊法)によって規制が行われていましたが、
近年の地球温暖化問題により、2015年(平成27年)からより厳しい法律(フロン排出抑制法)が改正施行されました。
改正に伴い、
業務用エアコン・冷凍冷蔵機器の所有者・使用者に対し、厳格な管理が義務化されました。
では、具体的にどんな事をすれば良いのか?。
- 全ての業務用空調機・冷凍冷蔵機器は、3ヶ月に1回以上の簡易点検
- 圧縮機出力が一定以上の機器については、3年(または1年)に1回以上の定期点検
- 点検整備記録簿(ログBOOK)の作成
- 建物全体で、どんな機器がどこに使用されているか把握(機器一覧リスト作成)
- 簡易点検結果表・定期点検結果表の作成
- フロン漏えい量を把握し、一定以上になった場合に国への報告
等、色々と準備・作成・実施しなければなりません。
上記を守らなかった場合、
- みだりにフロン類放出した場合、1年以下の懲役 or 50万円以下の罰金
- 機器使用・廃棄等に関する義務に違反した場合、50万円以下の罰金
- 算定漏えい量の未報告・虚偽報告の場合、10万円以下の過料
色々と罰則が有ります。
従来のフロン法は、
主に製造メーカー・取り扱い業者向けの法律でしたが、実際に所有・使用されているユーザー自身による点検管理が必要になりましたので注意しましょう。
色々やらなければいけないと言っても、何をどうすれば良いのか?という感じだと思います。
上記1〜6について、具体的に説明致します。
(家庭用ルームエアコンについてはフロン排出抑制法の対象外ですので、ここには含まれません。)
3ヶ月に1回以上の簡易点検
全ての業務用エアコン・冷蔵冷凍機器の簡易点検を、3ヶ月に1回以上実施しなければいけません。
(家庭用ルームエアコンについてはフロン排出抑制法の対象外ですので、ここには含まれません。)
簡易点検というのは、誰が?どのような事をすれば良いのか?。
- 誰が?→ユーザー自身
- どのような事を?→簡単な点検
機器ユーザー自身で出来る簡単な点検を、3ヶ月に1回以上行えば良いのです。
もちろん、業者に委託しても大丈夫です。
では、簡単な点検とは具体的に何をすれば良いのか?。
それは、「目視による外観点検」です。
目視による外観点検の指標が有り、
室外機点検 | 異常振動・異常運転音 |
---|---|
油のにじみ有無 | |
損傷・腐食・脱落 等 | |
室内機点検 | 熱交換器の霜付き |
異常振動・異常運転音 | |
機器全体 | 冷えが悪い・暖まりが悪い・エラーが出ている・動かない 等 |
まとめると、
普段と違う現象(振動がすごい・音がすごい・破損してる・エラー出てる・油みたいなの垂れてる・冷えない暖まらない等)が起こってないか、注目して確認すれば良いのです。
また、出来る範囲(点検者の安全優先)で問題有りません。
3年(または1年)に1回以上の定期点検
圧縮機定格出力が一定以上の機器については、3年(または1年)に1回以上の定期点検を実施しなければいけません。
定期点検対象機は下記表の機器です。
機種 | 圧縮機定格出力 | 頻度 |
---|---|---|
エアコン(空調) | 7.5kw以上50kw未満 | 3年に1回以上 |
50kw以上 | 1年に1回以上 | |
冷凍・冷蔵機器 | 7.5kw以上 | 1年に1回以上 |
上記の表をまとめると、圧縮機定格出力が7.5kw以上あると定期点検が必要になるという事です。
7.5kw以上の機器の目安
一概には言えませんが、大体10馬力(280)までは7.5kw超えてません。
10馬力より大きい機器は、超えている可能性大です。
確認方法としては、室外機銘板に圧縮出力○○kwと記載されています。
経年劣化により、読めなくなっている場合はメーカーさん・空調屋さん等に確認しましょう。
(設備用床置き機器等は、室内機に圧縮機が搭載されている場合も有り。)
1台の機器内に圧縮機2つ以上搭載されている機器は、足した合計値で判断します。
連結機(複数の室外機を同一配管で繋いで有る機器)に関しては、全ての合計値で判断となります。
対象機器だった場合、
エアコン(空調)→3年に1回以上(50kw以上1年に1回以上)
冷凍・冷蔵機器→1年に1回以上
定期点検を行わなければいけません。
エアコン(空調) or 冷凍・冷蔵機器?
この機器はエアコン(空調)?、それとも冷凍・冷蔵機器?どちらなの?という疑問が出てきます。
それは、冷やす(暖める)対象が何かで変わります。
- 人が対象→エアコン(空調)
- 物が対象→冷凍・冷蔵
と言う事は、機器に冷凍・冷蔵と記載されていても、庫内で作業する人が暑くないように設置しているなら、その機器は「エアコン(空調)」となります。(冷凍空調工業会様へ確認済み。)
定期点検は誰が出来るの?
「十分な知見を有する者」となっていますが、資格所持者でなければ出来ません。
十分な知見を有している事を証明するには、資格しか無いので。
代表的な資格は、第一種・第二種冷媒フロン取扱技術者です。
専門業者じゃないと持っていないような資格です。
と言う事は、業者へ依頼するしか方法は有りません。
点検整備記録簿(ログBOOK)の作成
点検整備記録簿(ログBOOK)とは、
機器所在・所有者・フロンガス種類や充填量・設置から廃棄までに行った点検・修理 等を記載する機器管理表となります。
機器設置〜廃棄するまで所持してなければいけません。
途中で譲渡する場合、点検整備記録簿も併せて引き渡す事になってます。
この点検整備記録簿は、業務用機器1台毎に用意しなければいけません。
インターネットから雛形をダウンロード出来ます。
建物全体で、どんな機器がどこに使用されているか把握(機器一覧リスト作成)
これは簡単ですね。
建物全体で、どこにどんな機器が設置してあるかを一覧にしたリストです。
簡易点検結果表・定期点検結果表の作成
3ヶ月に1回以上の簡易点検、一定以上機器の定期点検。
これらをしっかりと行っている事を記録した、結果表の作成です。
簡易点検については、実施されるユーザー自身が後で見て分かる物なら何でも構いません。
(手書きでもオーケーです。書式は決まってません。)
要は、法律を守って点検を実施している事の記録です。
定期点検については、依頼した業者さんが作成してくれるでしょう。
それを保管しておけば良いのです。
フロン漏えい量を把握し、一定以上になった場合に国への報告
1年間のフロン漏洩量を換算し、1,000 CO2トン以上になった事業者は国へ報告する。
フロンガスにはそれぞれ、GWPという数値が有ります。
現在主要なR410Aならば、1kg=2,090となっています。
R410A 1kgをCO2トンに換算すると、2.09CO2トンです。
10kgなら20.9CO2トンなので、1,000を超える量は478.5kgとなります。
因みに事業者とは、建物毎ではなくて事業所全体です。
事業所が100箇所有るなら、全て合計した結果1,000CO2トン以上なら報告しなければいけません。
複数の支店・工場、大規模施設・多店舗展開している事業者(チェーン店やフランチャイズなど)が主に該当してきます。
よくある質問
第一種特定製品に分類されている製品となります。
業務用エアコン・業務用冷凍冷蔵機器は対象です。
家庭用ルームエアコン・家庭用冷凍・冷蔵庫は対象外です。
荷室・荷台部分の冷凍・冷蔵ユニットについては、対象と聞いております。
弊社専門外・第一種特定製品ではない(第二種特定製品)機器も有るようですので、詳しくは製造メーカー様へ確認願います。